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【古橋亨梧×IIA】インタビュー後半 「一番苦しいのは、今」スランプでも折れない理由。批判すら見返すチャンスに変えるストライカーの哲学

サッカー日本代表として、
イングランドで戦うストライカー

古橋亨梧選手へのインタビュー後編をお届けします。

前編では、
日本と海外のサッカー文化の違いを通して、
古橋選手がどのように環境と向き合い、
「感謝」と「負けたくない」という軸を築いてきたのかが見えてきました。

後編では、
さらにその内側へと踏み込みます。


「一番苦しかった時期はいつですか」

その問いに、古橋選手は即答しました。
「今です」と。

ゴールが奪えない日々。
それでも名前を呼び続けてくれるファンの存在。
そして、避けては通れない批判との向き合い方。

海外という環境の中で、
折れずに立ち続けるための「1本の軸」とは何か。

苦しい時ほど、人は何かに頼ろうとします。

でも古橋選手が頼っているのは、
外側にある”何か”ではなく、
自分の中に持ち続けている”ぶれない芯 “でした。 

古橋選手の言葉には、
スポーツを超えた「生き方」のヒントが詰まっています。

※本記事は前後編構成です。 まだ前編をご覧になっていない方は、ぜひあわせてお読みください。

古橋亨梧 選手

サッカー日本代表。
バーミンガム・シティFC所属のフォワード。
ヴィッセル神戸での活躍を経て海外へ移籍、現在はイングランドでプレーしている。
海外での経験を通じて、「迷わず決め切る力」や価値観の違いと向き合いながら、世界の舞台で挑戦を続けている。

「一番苦しいのは、今」スランプでも折れない理由。批判すら見返すチャンスに変えるストライカーの哲学

 

— 海外に行くと「その国に合わせなければ」と思い、自分らしさを失ってしまうことはありませんか。

 

古橋亨梧選手
合わせる力は大事だと思います。

ただ、本当に大事な場面では、
自分らしさというか、
1本の芯
は持っておく必要がある。

それが良い結果につながることもあれば、
そうでないこともあると思います。

それでも、1本持っていればぶれない
そこは大事だと思います。

 

— 失敗することよりも、自分がぶれることの方がマイナスだという感覚でしょうか。

 

古橋亨梧選手
もちろん、誘惑もあるし、
いい時もあれば悪い時もある。

落ち込むこともあると思います。

でも、自分の中に何か一つでも軸があれば、
迷った時にそこに戻れる。

原点に立ち返ることができる


そういうものがあるといいのかなと思います。

 

— 海外に憧れはあるけれど、一歩踏み出せないという方に、メッセージをお願いします。

 

古橋亨梧選手
自分が思っている以上に楽しい
ということは伝えたいですね。

嫌なこともあると思いますが、
それも含めて経験ですし、
行ってみないと分からないことも多い。

だから、
その気持ちがあるなら踏み出してほしいです。

例えば、ご飯一つ頼むだけでも楽しい。

メニューが読めなくても、
「これはどんな料理なんだろう」と
考えるだけでワクワクする。

当たり外れもあると思いますが、
その一つ一つを楽しめれば、
もっと面白くなる
と思います。

 

— 今の日本には、どこか閉塞感を感じている方もいると思います。海外に出ることで、そういった感覚も変わるのでしょうか。

 

古橋亨梧選手
意外と、そういう人こそ
楽しめるんじゃないかなと思います。

 

— とにかく出てみる、ということですか。

 

古橋亨梧選手
はい。
やっぱり一番大事なのは勇気だと思います。

悩んでいる時間があるなら、
その分、外に出てみる


例えば1時間悩むなら、
その1時間で何か新しい経験ができるかもしれない。

難しい選択かもしれないですけど、
挑戦したい気持ちがあるなら、一歩踏み出してほしい。

時間は待ってくれないので、
行動してみてほしいです。

 

— 海外に出る前に準備しておいた方がいいことはありますか。

 

古橋亨梧選手
言語は大事だと思います。
それは、自分にも言いたいですね(笑)。

ただ、話せなくても、
出てしまえば身についていく部分もあると思います。

それよりも大事なのは、やっぱり自分の中の軸

絶対に落ち込むこともあるし、
誘惑もあるし、調子の波もある。

だからこそ、
ぶれない軸を持っておくことが大事
だと思います。

 

— その軸というのは、夢なのでしょうか。それとも自分自身への理解でしょうか。

 

古橋亨梧選手
何でもいいと思います。

夢でもいいし、自信でもいいし、
感謝の気持ちでもいい。

迷った時に戻れるものがあればいいと思います。

そこに戻って、
また新しくスタートできる。

そこからまた新しい発見や出会いがあると思います。

僕もあまり自信はないですけど(笑)。

 

— 自分を取り戻せる場所のようなものですね。

 

古橋亨梧選手
そうですね。
うまくいかない時こそ、原点に立ち返る

チームのために走るとか、
サッカーができていることへの
感謝ができていなかったなとか。

そういう気づきがあると思います。

 

— 古橋選手は今では日本代表でイングランドでも活躍されています。ここまで決して順風満帆ではなかったと思いますが、一番きつかったと感じるのはどの辺りでしょうか。

 

古橋亨梧選手
正直、今ですね。

新しいチーム、新しい選手、監督、スタジアム。

その中で、ファンの方々に囲まれて
サッカーができていることは、本当に幸せです。

ただ、開幕からなかなかゴールを決められていない。
フォワードとして、結果が出ていない状況です。

それでも、
試合後にファンの方が名前を呼んでくれる。

結果を出せていない自分の不甲斐なさを感じながらも、
それでも期待してくれている人がいる。

その存在は、本当にありがたいと感じています。

だからこそ、結果で応えたい

ピッチに立った時、
応援してくれる人たちの顔を見ると、
落ち込んでいられない。

絶対に点を決めて、笑顔にしたい
と思うんです。

それが一番の原動力です。

 

— 一般の方に比べて批判を受ける機会も多いと思いますが、どう向き合っていますか。

 

古橋亨梧選手
見ない、気にしない、が一番だと思います。

ただ、どうしても目に入ってしまうこともある。

実際に目に入れば、やっぱり気になるし、
落ち込むこともあると思います。

でも、一つ気にし始めると、
それが10個、100個と増えて見えてしまう。

だからこそ、
「それだけ見てくれている証拠だ」
と捉えるようにしています。

見返すチャンスがある。


そう思って、
プラスに変えていくことが大事だと思います。

自分はどうなりたいのか。
そのためにどうするのか。

意識をそちらに向けるようにしています。

もちろん、いい言葉のほうが嬉しいですけど、
何も言われなくなったら終わりだと思うので、
言われるうちが幸せだとも感じています。

 

— もともとメンタルは強い方だったのでしょうか。

 

古橋亨梧選手
全然強くなかったです。
子どもの頃はよく泣いていました。

ただ、やっぱり強い気持ちを
持ち続けることは大事
だと思っています。

負けない気持ち。

例えば、
見返してやるという気持ちだったり、
この角度からのシュートを絶対決められるようになる、
という意識だったり。

小さなことでも、強く持つこと。

そういう意味で、
負けず嫌いなのかなと思います。

達成して満足するのではなくて、
一つできるようになったら、次は違う形で決める。

さらに、
別のシチュエーションでも決められるようにする。

そうやって、できたら次へ、
また次へと進んでいく感覚
です。

 

— なぜそのモチベーションがわいてくるのでしょうか。

 

古橋亨梧選手
やっぱり、上には上の選手がたくさんいるので。

その人たちに負けたくない
という気持ちは大きいと思います。

自分より上の存在が見える環境にいられること自体が、
嬉しいですし、チャンスでもある。

その中で「これいいな」と思うものを
吸収することもできるし、
自分を伸ばすきっかけにもなる。

プロの世界は、嫉妬だらけだと思います。

でも、それをどうパワーに変えて、
自分のものにできるか。


そして、チャンスが来た時に、
それをつかみ取れるか
どうか。

そこがすべてだと思います

 

— 苦しい時期を乗り越えられたのは、応援してくれる人の存在が大きかったのでしょうか。

 

古橋亨梧選手
そうだと思います。

監督やチームメイト、試合に出られない選手も、
勝ってほしいと思って応援してくれる。

そういう人たちと一緒に勝って、
喜びを分かち合いたい。


その気持ちはすごく強かったです。

 

— 周囲に誰もいないと感じてしまう方もいると思います。古橋選手はそういう時期はありましたか。

 

古橋亨梧選手
僕はありがたいことにそういう経験はなかったですが、
そう感じる状況もあると思います。

ただ、考え方を変えれば、
そういう経験があるからこそ、
次のアイデアが生まれる
こともある。

新しい挑戦につながる可能性もあると思います。

苦しいとは思いますが、
そのエネルギーを別の形に変えてほしい

言葉で言うのは簡単ですが、
当事者にとっては本当に苦しいことだとも思います。

それでも、
苦しいからこそ見つけられるものもある。

その時期に出会う、
誰かの存在や、かけてもらった一言。

そういうものへの感謝も、
その時だからこそ気づけるのかもしれません。


だからこそ、
感謝は忘れてはいけないと思っています。

 

— 自分を支えてくれるのは、小さな存在であることもあるのですね。

 

古橋亨梧選手
一人の存在が、
やがて5人、10人、100人と広がっていくこともある。

その一人を大切にして、輪を広げていく。

その人たちの笑顔のために、自分は頑張りたい。


その積み重ねが、
結果につながっていくと思います。

 

— 苦しい時期に、特に意識すると良いことはありますか。

 

古橋亨梧選手
その苦しい経験や嫌だった気持ちは、
絶対に無駄にはならないと思っています。

同じことを繰り返してしまうこともあるけど、
その経験は必ずどこかで活きてくる。

未来につながります。

だからこそ、忘れるのではなく、
エネルギーに変えていくことが大事
だと思っています。

反省はしますが、
過去も見つつ、未来に向かって進む。

そのバランスは意識しています。

 

— 海外の選手からも刺激を受けていらっしゃるのでしょうか。

 

古橋亨梧選手
日々、刺激をもらいますね。

海外の選手に負けたくないし、
自分もできるというところを見せたい。

誰にも負けたくない。

その気持ちは常に持っています。

 

— この先の夢や目標を聞かせていただけますか。

 

古橋亨梧選手
やっぱり、1点でも多く決めて、
応援してくれる人たちを笑顔にしたい。

そして、子どもたちに、
海外でプレーしたいとか、
こういう選手になりたいとか、
そう思ってもらえる存在になりたい。

サッカーに限らず、
「あの人がいたから頑張りたい」
と思ってもらえるような、

誰かのきっかけになれる存在
なれたらと思っています。

 

— 最後に、若い世代へのメッセージをお願いします。

 

古橋亨梧選手
自分もまだまだ成長していきます。

もっと多くの人に知ってもらえるように、
そして、皆さんに負けないように、
自分も挑戦を続けていく。

だから、
夢を持ち続けて挑戦を続けてほしい
と思います。

 

— 本日はありがとうございました。

 

古橋亨梧選手
ありがとうございました。

 

古橋亨梧 選手 プロフィール

サッカー日本代表フォワード。 国内リーグでの活躍を経て、ヴィッセル神戸に加入。
その後、海外移籍を果たし、スコットランドでのプレーを経験。 現在はイングランド・バーミンガム・シティFCに所属し、世界の舞台でプレーを続けている。 海外での経験を通じて、判断の速さや決断力、失敗を前提に進むメンタリティなど、日本との価値観の違いを実感。 また、競争の中に身を置きながらも、歴史や周囲への感謝を大切にする姿勢を持ち続けている。 「迷うよりも一歩踏み出す」ことを体現しながら、自分らしい挑戦を続けている。